スペシャルティーコーヒーの氾濫

コーヒー市場の変遷に伴い、ここ数年ほど日本でも《スペシャルティー》と言う言葉を使うようになりました。ご他聞に漏れず当店もSCAJ(日本スペシャルティーコーヒー協会)に所属しておりますが。

●アメリカのスペシャルティーコーヒーの定義

1982年に初期の定義が作られている。
これが20数年前の定義?と疑う様な内容。

1、深い焙煎度のコーヒー
2、生産国をつけたコーヒー
3、地域密着型コーヒー
4、カフェインレスコーヒー
5、フレーバーコーヒー
6、有機栽培コーヒー

1996年に導入されたSCAA(スペシャルティーコーヒー アソーシエーション オブ アメリカ)の定義は“スペシャルティーコーヒーは、際立った素晴らしい風味で、欠点の無いコーヒー”と定義されている。
具体的にはカッピングのコンペでクオリティーの評価に際して90点以上の得点が付けられたコーヒーのみをスペシャルティーコーヒーと呼ぶ。

素晴らしい風味とは

1、カップの爽やかさ、綺麗さ
2、後味のほのかな甘さ
3、繊細な酸味の特性
4、素晴らしい口に含んだ量感
5、味と香りの印象度、特性
6、後味の印象度、複雑さ
7、全体のバランス

●ヨーロッパでの定義・・・・・・・・(現在策定中)

SCAE(ヨーロッパスペシャルティーコーヒー協会)で導入が検討されている。
“スペシャルティーコーヒーとは、技巧を結集して作られた高品質のコーヒーで飲み物としてのコーヒー。

その飲み物とは、限定された市場で、供給されるコーヒーで、それもいつでも飲めるものでは無く、一般のコーヒーとは異なって、際立つユニークな風味特性を持つもの。更に付け加えれば、飲み物のベースとなるコーヒー豆は、精細に厳格に限定された栽培地域で、最高のコーヒーであること、精細に厳格に表現・記述されるコーヒーであること。飲み物は、焙煎加工、保存、抽出が最高の技巧水準によって供給され、消費者の手に持つカップの中の液体が素晴らしいと消費者に評価・賞賛されること。”とある。

●日本での定義?・・・・・・・・現在、なし

アメリカとヨーロッパ、どちらかと言えばアメリカである。現在生産各国のコンペにおいて上位入賞コーヒーの殆どがインターネットオークションにより、生豆を日本の自家焙煎店が落札しているのが実状である。お客様が口にするのは、嗜好品としての液体のコーヒーであり、「良い生豆イコール旨いとは限らない」あくまでも原材料であり、液体に成るまでのプロセスも問題にすべきである。先日、エチオピアのオークションで当店も1位を落札してはいるが、素材と考えている。

良い素材なくして旨いストレートコーヒーにならないのもまた事実である。
また、生産国にもよるがコンペの上位入賞コーヒーが最良・最高のコーヒーであるとは限らない。
多々、事情はあるにしても、スペシャルティーコーヒーが氾濫しているのも事実である。

●スペシャルティーコーヒーとプレミアムコーヒーの違い

当店の名前にも付けている《プレミアム》1996年以前は最良のコーヒーと言われていたのもであるが・・・
現在のSCAAの考え方としては、《「ブルーマウンテン」「ハワイコナ」名称、呼称により、プレミアムが付けられて取引・販売されるもの。希少価値コーヒー。》とある。
しかし、農園主、農園の標高、農園の環境、気候、土壌、ティピカ種、ブルボン種、完熟、精製においてナチュラル、フル・ウォシュド、棚干し、日陰干し、サイロでの熟成等、拘ったプレミアムコーヒーの旨さを理解していないだけである。

今後、日本独自の定義が偏りが無く、最良・最高のコーヒーの定義として出来上がることを期待している。
日本人のオーダーした《プレミアムコーヒー》イコール《スペシャルティーコーヒー》に成る日は近い?