コーヒーは健康飲料?

朝夕の涼しさは・・・もう秋ですね。食欲の秋!コーヒーの美味しい秋です。

コーヒーは『ダイエットに良い・・・』『健康に良い・・・』『一日に何杯以上飲んでる人は・・・に効く』等々、メディアで取り上げられることの多いこと。

しかし、今に始まった事ではなく、歴史文献によると古代ヨーロッパのペルシャの名医、ラーゼス(850~922)は、《医学集成》の中ではじめてコーヒーを薬として取り上げている。もっとも、コーヒーと言っても生豆(ブンまたはバンと言われる)の煮汁(バンカムと言われる)の効能に付いて書かれているのであるが。伝説にも『イスラム寺院での僧たちの修行に秘薬として・・・』と言うのもある。つい最近の雑誌にも生豆の煮汁は『ダイエットに効果絶大・・・』と言うのもあった。

コーヒーが健康飲料と言うのは間違い無いようである。

でも、私は、何にもそんな事考えてなくて、ただただ「コーヒー飲みたい~」が一日何回もあるだけなのである。・・・が、『糖尿病に良い』話がニューヨークタイムズに紹介され、翻訳が手に入ったのでご紹介します。

 

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出 典 : ニューヨーク・タイムズ誌
著 者 : Nicholas Bakalar
記事日付: 2006年8月15日

コーヒーは通常、健康食品とは考えられていない。しかし、非常に有益な飲み物である可能性を、最近の数々の研究が示唆している。糖尿病や心臓病、肝硬変を含む、いくつかの深刻な病気にかかる危険性を、コーヒーは低減する。そのことを示す有力な証拠を研究者らが見つけた。

その内の一つは、JAMA(米国医学学会誌)に昨年掲載された、過去の研究の系統的レビューである。習慣的なコーヒーの飲用は、2型糖尿病※にかかる危険性の低減に対して、一貫して関連性が見られた、と同レビューは結論付けた。明確な理由は不明のままだが、いくつかの説明を著者は提案している。

コーヒーは抗酸化物質を含み、それが糖尿病の進行を助長するとされる細胞障害を抑制する。また、コーヒーはクロロゲン酸の源でもあり、クロロゲン酸がグルコース(糖)の濃度を抑えることは、動物実験によって明らかにされている。

コーヒーの成分の中で最も有名であろうカフェインは、ほとんど関係していないようである。デカフェのみに対する調査でも、同等の危険性低減が見られたためである。

糖尿病の予防には、コーヒーの量が多ければ多いほど、特に効果的なようである。過去の研究からの統計データを統合した調査報告では、一日にコーヒーを4~6杯飲んだ人は、2杯以下の人と比較して、危険性が28%低かった。7杯以上飲んだ人は、危険性が35%低かった。

心循環器疾患にかかる危険性も、コーヒーの飲用によって低くなることを、いくつかの研究が示している。ノルウェーの研究者は、コーヒーを1日に1~3杯飲む女性は、全く飲まない女性と比較して、心循環器疾患にかかる危険性が24%低いことを発見した。同研究では、米国アイオワ州女性健康調査(27,000人以上の55~69歳の女性を15年間追跡調査)のデータが使用された。

しかし、その効果は量が増えるごとに減少した。1日に7杯以上では、心循環器疾患にかかる危険性は、大して下がらなかった。それでも、年齢や喫煙・飲酒の有無で郡を分けると、デカフェかそうでないかに関わらず、1日に1~5杯飲んだ女性は、全く飲まなかった女性と比較して、何らかの原因により死亡する危険性が15~19%低くなった。

AJCN(米国臨床栄養学学会誌)に5月に掲載されたそれらの研究成果は、コーヒーに含まれる抗酸化物質が炎症を抑えることで、心循環器疾患のように、炎症に関係した病気にかかる危険性を減少させている可能性があることを示唆している。フェノールや揮発性の芳香成分、効果的に吸収されるオキサゾール類など、コーヒーに含まれるいくつかの成分が、コーヒーの抗酸化物質としての性質に寄与していると考えられる。

同じくAJCNに7月に掲載された別の分析では、標準的な一人前のコーヒーは、標準的な一人前のグレープフルーツジュース、ブルーベリー、ラズベリーやオレンジよりも多くの抗酸化物質を含んでいることを研究者が発見。

両研究の第一著者であり、オスロ大学の教授(栄養学)であるRune Blomhoff氏は、「ノルウェーとアメリカ両国の食生活において、コーヒーが、定量的に主要な抗酸化物質の供給源であることが分かって驚いた。」と言う。

アルコールがらみの肝硬変や肝臓癌にかかる危険性をコーヒーが低減する理由も、同じ抗炎症特性によって説明できるだろう。この効果は1992年に初めて確認された。JAIM(米国内科医学学会誌)に6月に発表された最近の研究は、これを追認した。

それでもなお、コーヒーの飲用、そして特にカフェインの摂取は、健康にマイナスの結果をもたらす可能性がある、と一部の研究者は信じている。例えばJACC(米国心臓病学会学会誌)に1月に発表された研究は、コーヒー2杯に含まれる量のカフェインが、心臓への血流量を著しく減少させる(特に高地トレーニング中)ことを示唆した。

ハーバード大学の科学者であり、JAMAレビューの主執筆者であるRob van Dam氏は、カフェインが血圧を増加させ、アミノ酸ホモシステインのレベルをわずかに増加させることによって、心臓病にかかる危険性を引き上げる可能性がある、と認める。

「病気にかかる危険性を低めるためにコーヒーの飲用を増やすよう、人々に勧めるつもりはない。しかし明らかなのは、特定の健康状態である人を除く、ほとんどの人にとって、コーヒーは健康に有害ではないということである。」とvan Dam 博士 は言う。

※2型糖尿病: インスリンをつくることはできるが、ブドウ糖を効率よく細胞に取り入れられないタイプの糖尿病。糖尿病者の95%以上が2型と言われる。(訳者注)