2023年7月 コロンビア旅行記Ⅱ

ナリーニョ  エルタブロン(Departamento de Nariño El Tablom)



エドムンド・セロン氏

エドムンド氏はCONがナリーニョで実施しているプロジェクトのリーダーであり、ヒメナ・マルチネスさんのご主人。
とても勤勉で真面目な人柄で、滞在中もコーヒーのトレンドや、どうすればよりおいしいコーヒーが作れるのかずっとフェリペ氏と話し込まれていた。
実際、CONと仕事を始めてからプロセスについて必死に勉強され、COE(Cup of Excellence)にも4回入賞している。
プロジェクトが始まった8年前はまだ内戦の最中で、この辺りは ゲリラの拠点となっており、治安は最悪で、長らく外部の人間は 立ち入ることすら出来ないエリアであった。和平交渉が進んで治安が回復し、フェリペ氏も今回ようやく訪問することが出来た。今回日本人として初めての旅行者になった。
マフィアやゲリラが支配していた頃は、この辺り一帯は麻薬の一大産地となっており、エドムンド氏は政府が麻薬撲滅の為に始めたフォレストレンジャーの活動に参加、麻薬を全て枯らしてコーヒーに植え替える仕事に従事されていた。
しかしコーヒーを作っても誰にも買ってもらえず困っていたところ、CONが支援を開始。スペシャルティコーヒーの作り方も指導してもらい、ようやく生計をたてられるようになった。

 【左】エドムンド氏 【中】コロンビアを代表するカッパーのジェニファー・ロハス・トルヒーリョさん
 【右】プロジェクトメンバーの 生産者とそのご家族

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ヒメナ・マルチネスさん 精選所/乾燥場

精選所にはパルパーや発酵槽、アフリカンベッドなどあり。精選後は 各設備ブラシなどで清掃されており、きれいに保たれていた。
乾燥場は渓谷を挟んで精選所の対面の崖上にあり、常に風が吹く風通しの良い場所。普段はサッカー場だが、収穫時期の3か月だけ乾燥場として借りている。一日中30分おきに撹拌し、夜は盗難と暴風対策のため、毎日交代で乾燥場のテントで寝ずの番をされている。
プロセスは、昔ながらのクラシックハニーからアナエロを含むダブルファーメンテーション、トリプルファーメンテーション(発酵槽で発酵→タンクで発酵→乾燥時に発酵)などに対応。

 【左・右】コーヒーに名前をいただいたヒメナ・マルチネスさんと

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アポンテ村

標高は約1900~2400mのエリアで、山の急斜面等で生産されている。
最寄りのパスト空港から舗装されていない山道を車で6時間かけてようやくたどり着ける場所。
このエリアは先住民の方々が暮らしている場所で、彼らが収穫したチェリーをエドムンド氏が集めて精選所で精選している。
元々先住民の方々が暮らしていた村周辺は、マフィアやゲリラに支配され長く暗い時代が続いていた。内戦が終わりゲリラが去る頃、今度は長期間にわたる地殻変動等が発生し、村は壊滅してしまった。
しかし彼らはそんな苦難を乗り越え、新たな場所で村を再建し、現在もコーヒー栽培を続けている。
どんな苦難や逆境にも負けずこの地で暮らし続ける先住民の方々のたくましい姿は、厳しい自然環境にも負けず堂々と咲き誇るアポンテのコーヒーの姿と重なる。

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ナリーニョ地区の良い点

7つの火山に囲まれており、土壌の栄養分が豊富。
赤道直下なので、標高が高いエリアで生産可能で、昼夜の寒暖差で樹にストレスがかかりチェリーに栄養分が蓄えられやすい。(ウィラでは2200mぐらいが限界らしい)
乾季は雨が降らないが、近隣火山から風が雲と一緒に降りてくる際に樹に湿度を与えてくれているので、樹に適度なストレスがかかりつつもしっかりチェリーが生育する。
収穫時期が集中する為、熟度が統一されやすい。

 【左】先住民のリーダー 【右】ナリーニョ地区を望む

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