2023年7月 コロンビア旅行記Ⅳ

ウィラ アルゼンティーナ村(Argentina   Department of Huila)

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エルエンカント(El Encant)農園

 【左】エルエンカント農園主と一緒に 【右】ミゲル(息子)氏と

標高約1850m。
農園主のミゲル氏(息子ミゲル氏(同じお名前)はCONの生産責任者)はティピカに強いこだわりを持つ。
ミゲル氏の父親もコーヒー農家で子供の頃からずっとティピカが身近にあり、ずっとティピカが好きだった。
そしてプロのコーヒー生産者になるならやはりティピカとブルボンだという想いから、サビ病などにも弱く栽培が難しいティピカやブルボンにこだわって栽培をしている。
その品質は、今ではほとんど幻となったかつての「コロンビア マイルド」、我々が求める古き良き時代のティピカらしい贅沢な味わいに仕上がっている。
COE入賞経験もあるが、生産量が限られている為、毎年継続購入している我々優先で供給してくれている。
今回初めて知ったことだが、ミゲル氏は元々ナリーニョの出身で、サン・アグスティンで奥様と出会って結婚。
その後、子供を養って行く為にナリーニョに戻って仕事をされていたが、再度サン・アグスティンに戻り、2000年ミゲル氏が47歳の頃に現在のエルエンカントの土地を購入。
しかし当時は草木が生い茂るただの森でコーヒー農園とはほど遠い状態だった。その状態から森を切り開いて一から現在の農園を作り上げていったとのこと。

コロナ禍中にミゲル氏も感染してしまい、体力が落ち歩行にも少し支障が出てしまっているが、ご子息のミゲル氏をはじめ、ご家族が収穫などコーヒーの生産をサポートしてくれている。
今回訪問時は大雨で農園を訪問することは叶わず、ミゲル氏と会うことも難しい状況であったが、どうしても私達に会いたい、と大雨の中私達の滞在先まで会いに来て元気な姿を見せてくれた。
私達がコーヒーを買っている縁で、日本にも興味を持ってくれて最近は日本の映画などを見ることが趣味になったとのこと。特に空手がお気に入り。

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ウィラ  サン・アグスティン(San Agustin Department of Huila)

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ナチューラ(La Natura)農園

標高はウィラ最高峰の約2000-2250m。CONが所有する実験圃場的な農園。
大昔から受け継がれてきた大自然をそのまま残したいというフェリペ氏の強い思いから、敷地内のほとんどが森林保護エリアとなっている。
森林エリアには湧き水が小川を形成するような場所や、恐竜映画などで見かけるような古代の植物なども見られる。
当初はウィラ最高峰の標高で希少な品種を栽培することで、高品質なコーヒーの栽 培を目指したが、この数年ラニーニャに悩まされ、山頂のティピカやブルボンは何度植え直しても枯れてしまい、両種の栽培は断念。
現在山頂エリアにはピンクブルボンを栽培開始。
それ以外のエリアでも、ゲイシャのような風味を持つウシュウシュ種やジャバ種、モカ種などの珍しいものを含む様々な品種を栽培。
4年前訪問時はまだ若い樹ばかりであったが、山頂部以外のエリアの樹は立派に育っており、いよいよ収穫が本格化していく予定。

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COLORS OF NATURE

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コロンビアを拠点に高品質なスペシャリティーコーヒーを取り扱うサプライヤー。
自社農園も経営しながら他生産者 の生産、生活、設備、研究サポートなどを実施。
同社は、元々貧困や違法作物、戦争等の影響を受けた地方エリアの人々を支援する目的で設立されており、現地の通常流通価格よりも高値で買い取り生産者を支援している。
品質も妥協せず、最新の研究等で判明した知識などは生産者と共有するなど、常に品質向上に向けて生産者たちとコミュニケーションを取っており、毎年のようにCOE入賞者を輩出し続けている。輸出業者。
代表のFelipe氏は元々植物学者で、植物の生態や自然環境に関する知識にも精通。
数年前にCQI(Chartered Quality Institute) が新設した生産者向けの“processing course”の講師も務めており、Processingについては世界トップレベルの権威。
最近では、人工的な添加物が付与されたコーヒーの見分け方や、外来種の酵母が地場の生態系に及ぼす悪影響などの講演を行っており、SCA(specialty coffee association)からの依頼で世界各地の展示会でセミナーなどを実施している。

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セレーサ・リサーチセンター(La Cereza Research Center )

CONの研究施設。
同施設では、最新プロセスの研究や生産者のトレーニング、 近隣エリア生産者向けのウェットミルとして稼働している。


ソーラードライングシステム

スペシャルティ向けに新たに導入された乾燥システム。>
黒いボックスの中にチェリーを乗せる網が張ってあり、その下にファンが設置されているのだが、このボックスだけでは機能しない。
ビニールハウスの形や太陽光の当たる角度、空気の滞留時間や還流、ボックスや床の色など、チェリーを良い状態で効率よく乾燥させる為にあらゆる点が緻密に計算されており、全てが揃って初めて乾燥システムとして機能する最新式の乾燥システム。
天候に関係なく乾燥でき、省スペースで大量に乾燥可能。(同じ面積で、アフリカンベッドの約14倍の量を乾燥可能)
撹拌もほとんど必要ないので人力もほぼ不要で、サイロなどに比べ必要な電力も少ない。
乾燥時の温度をコントロール出来るので、チェリーにとって最適な温度で乾燥を進め、品質をコントロール出来る。
さらにフェリペ氏はシステムのメーカーと共同研究しており、ここでしかできない独自のカスタマイズ「コールドドライング」の機能も付加している。この機能でより細かく発酵やプロファイルをコントロール可能。

酵母の研究

近隣の農園などから、地場の自然界に元々存在する酵母などを採取し、コーヒーの風味に良い影響を与える酵母の研究をしている。
通常工程の発酵では、毎回同じ風味を再現することは難しく、再現性は20~30%程度だが、酵母を使用した発酵では再現性を70%程度まで引き上げることが可能。
最近ではコーヒーの発酵に、ワイン酵母など海外から輸入した様々な酵母を使用した方法が出てきているが、在来株以外の酵母等を使用すると、その土地の生態系に大きな影響を及ぼす可能性が非常に高く、CONでは地元の自然環境やテロワールを守る為に在来株のみを使用。