ギシルと原点

30年ほど一緒に焙煎をしてきた仲間のようなスタッフが昨年暮れに退社した。
定年と言ってしまえばそれまでであるが、
私のコーヒーのよき理解者でもあっただけに、思った以上に寂しくもあり、
また2台の焙煎機を稼働させて集中力を維持するのも、久しぶりに骨身に沁みることである。
お客様となった今でも手厳しいのは昨年までと同じ、何も変わっていない。
一番難しいお客である。

今日は、焙煎室のもう一人のスタッフと、イエメンのお土産にいただいた[ギシル]を一杯。
[ギシル]は、コーヒーの果肉を乾燥させ焙煎し、
その煮出し汁に生姜、シナモン、カルダモンなど香辛料と砂糖を入れ
飲まれるもので、日本では稀である。
今回はパウダー状になったのもで、お湯にスプーン1杯入れるだけのもの。
私も徳島で遣らせて頂いたコーヒー文化学会の【コーヒーを楽しむ会】以来、
久しぶりの[ギシル]である。

上手く言えないが、色々な原点を思い出させてくれるような、≪複雑≫な味、
頑張りと気力をくれた一杯であった。