COFFEE WORKSセミナー報告<8/29開催/講師:西谷 恭兵氏>

平成29年8月29日(火)COFFEE WORKS山城店にてコーヒーセミナーが開催されました。

講師は若者から絶大な支持を受けている人気バリスタ西谷恭兵さん。
昨年夏のセミナーから2度目の講師としてお越し下さいました。

前回、バリスタはサービスのスペシャリストだと様々な角度からお話してくださいましたが、
今回はイタリアンバールのメニューからバリスタの本質を考えるという違った切り口から講義をしていただきました。

僕は職業を聞かれたらイタリアンバールのバリスタですと答えます。
「職業は料理人です」と言われたら「何料理を作られているんですか?」と聞きますよね?
それと同じで職業はバリスタです、だけでは不十分だと思っています。と始まったセミナー。

次々とイタリアンバールのコーヒーを作りながらイタリアンバールの説明や、メニューの解説をしていただきました。
喋りながらの作業ですがやはり動きは美しく無駄がありません。

イタリア人になぜエスプレッソに砂糖を入れるのか?と聞くととても不思議な顔をされたというお話がありました。
なぜそんなことを聞くのか分からない。エスプレッソには砂糖を入れて飲む!ただそれだけ。

僕たちは全てに理由をつけたがるけれど物事はもっとシンプルだ。
理由がない事も答えがない事も受け入れる。
シンプルだけれど実践するのはとても難しい事だと私が常日頃感じている事でした。

あとはカプチーノにココアをかけて飲むお店が東京では少なくなってきたけれど僕は絶対にかけ続ける!
ココアをかける仕草が好きだからね。なんて所作の美しさに定評がある西谷さんらしいこだわりも。

西谷さんからの「心を込めてコーヒーを淹れると言いますが、具体的にどうやって心を込めますか?」という質問には
「丁寧に淹れる」「美味しくなあれと言いながら淹れる」等の答えに「僕の考える【心を込める】は、
このお客様はなぜここに来店し、なぜこの商品を注文したのか、服装、持ち物、目線や行動、
なぜ、どうして・・・とお客様に集中し、そのお客様にとって最善のタイミングで最善の商品、空間を提供することだと思っています。」
緻密に計算された接客と、そう語る西谷さんの目がとても輝いていることが印象的でした。

「期間限定商品や季節のイベントなどについてはどうお考えですか?」という質問には
「常連さんにも目新しくてスタッフの楽しみにもなり、集客の面でも良いと思います。
でも僕は365日お店の見た目が同じというのが好きなのでお店をやめるその時まで
できるだけお店の装飾を変えたくないと思っています。
それに景色が変わることによって自分の振り幅が変わるのが嫌なんです。
老舗と呼ばれる長く愛されるお店ってずっと変わらないじゃないですか。
流行りのものってバーッと売れてバーッと去っていくでしょう?」
と答えてくださいました。

「それと同じでメニューも変えたくない。
イタリアのイタリアンバールのメニューってどこのお店も同じなんです。
100年前からあるメニューってお店がずっと出しているから残っているというよりは、
お客様がそれをずっと選んでいるから残り続けているんですよね。
だからきっと100年後にもそれは残っているはず」。

ハード面は変わらないという安心感と、ソフト面はお客様一人一人に対して柔軟な対応。
頑固なまでに変わらない部分と、お客様1人1人が求めるものに多様に応じていく部分。
一見両極に在るようなその信念がCOFFEEHOUSE NISHIYAが愛される一つの理由なのだろうと感じました。

ここには書ききれませんが、沢山の興味深いお話を聞くことができ、
お店に立つ者として身の引き締まる思いです。

セミナーの後はワインやビール、何種類もの薪がまピザやパスタなど鮮やかで美味しそうな料理とともに、
西谷さんを囲んでの懇親会。お客様同士も和やかにお話されてとても楽しい時間となりました。
西谷さん、参加いただいた皆様本当にありがとうございました。

カブ