コーヒーの世界

先日、金沢大学で『コーヒーの世界』の講義をさせていただきました。
今回は、「コーヒーの生産処理l」についてです。

生産処理とは、コーヒーチェリーを収穫後、生豆になるまでの工程のことで生産国では最近、色々な方法が取り入れられております。コーヒーの味を決定づける要因の一つでもあります。

少しだけ紹介させていただくと、大きく分けて2つの方法があります。
「ナチュラル」といわれるもの、「ウォシュド」といわれるものです。

ナチュラル(Un-washed、Natural)はコーヒーチェリーをそのまま、天日乾燥するもので乾燥後、脱穀して生豆を取り出します。コーヒー本来の甘みを表現できる処理方法である一方、長時間の天日乾燥のため、天候に左右され管理が難しいと言われております。欠点(未熟・過熟)、不純物を選別するのも大変ですが、独特の香りと甘みと柔らかい味わいのコーヒーに仕上がるのもこのナチュラルの特徴です。昔からブラジル、エチオピアではこの方法が主流でした。

ウォシュド(Wsshed)とは、コーヒーチェリーをパルパーと言われる機械にかけ表皮と果肉を剥ぎ、半日から1日ほど水槽に入れます(漬けないこともあります)。時間がたつと、果肉等が発酵します。ここで水洗いをして、発酵した果肉等を取り除きパーチメントと言われる薄い皮を被ったものを天日乾燥と機械乾燥(両者を組み合わせるのが一般的)して輸出前に脱穀して生豆を取り出します。
ブラジル、エチオピア以外のほとんどの生産国で採用されている処理方法です。比較的安定したコーヒー生豆が作れ、酸味が出るのも特徴です。

発酵槽に漬けない方法もあります。

またコスタリカの生産処理が注目されています。ハニーコーヒー、レッドハニー、イエローハニー、ブラックハニー等と言われているのが、その生産処理です。ブラジルでは、パルプド・ナチュラル(Pulped Natural)とも言われています。
ハニーとは蜂蜜のこと、中米では、果肉のことをミエルといい、このミエルをハニーと言います。果肉の甘さがコーヒーに移ることからもその名が付きました。果肉をどれだけ残すかで、其々に名前が違います。
また乾燥時にブラックシートに包み、自然発酵を促す、繊細な工程により作られるコーヒーも注目されております。

生産者と消費者の関係の構築による、サスティナビリティ、スペシャルティーコーヒーなどのコンテスト、カップオブエクセレンスなどのオークション、またバリスタ・ブリュワーズなど多様な競技会、サードウェイブ(第3の波)のシングルオリジン嗜好、使用器具(日本の抽出器具が普及している。)の影響も大きいと思われます。

コーヒー生産全体からは、まだまだ少量ではあるが、牽引役として存在価値は大きい・・・

画像と共に拙い講義に、其々の出席カードに感想を書いていただいているのが、この写真。
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