コーヒー旅行記「ヨーロッパ視察記2011」

2011年10月にヨーロッパを訪ねた際の写真をまとめました。

各写真をクリックすれば、大きな写真が表示されます。

 

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今回は消費地、それも今、最も注目されているデンマークとロンドンへ向かう。
勿論、コーヒーの文化、バール(Bar)の発祥の地、イタリアは外せない。

今回は当店のMott・ILSAなどの商品を輸入されている
『Colore  Argento』の伊原さんにツアーガイドをしていただいた
。『カフェグッズ』小林さん、バリスタチャンピオン門脇さん、
これから日本のコーヒー業界を背負って立つ若いバリスタさんら、
また生産地への渡航でいつも一緒、金沢の『キャラバンサライ』さん、
大阪『ヒロコーヒー』さん、そして『COFFEE WORKS』の私・・・と、
総勢10名の男ばかりの大所帯の旅。
(ひとつだけ心残りなのは、3年ほど前から計画をしていただいた
『カフェグッズ』の小林さん(父)とご一緒できなかったことである)。

 

デンマーク コペンハーゲン [2011.10.17]

成田よりコペンハーゲンに向かう。およそ12時間、
中米、ブラジルへ行くことを考えると何とも楽な渡航時間である。

空港より電車移動、中央駅近くのホテルにチェックイン。

さっそく今回の目玉、『カフェ コレクティブ』へ向かう。
2006年世界バリスタチャンピオン、クラウス・トムセンさんの店である。
デンマークは2000年から始まったバリスタ選手権で
4度のチャンピオンを出している国だ。

翌日も来店予定があるので、のんきに散策、
チボリ公園の夜景なども楽しむ。

・・・しかし、北欧はやはり寒い。

コペンハーゲン コペンハーゲン コペンハーゲン コペンハーゲン コペンハーゲン

デンマーク コペンハーゲン [2011.10.18]

いよいよ視察開始。

早朝より『カフェエステート』へ行き、エスプレッソを注文、チョコレートが付いてくる。カウンターでは、今世界的に注目されている日本の抽出技術、ハンドドリップでのコーヒーも楽しめる。

そしていよいよ『カフェ コレクティブ』へ向かう。今回は 『coffee works』オリジナルのドリッパーとサーバー、ポット、コットンパワーフィルターを持参、抽出のデモンストレーションを行うのも目的の1つ。いつになく少し緊張しているのが自分自身判る。ミルのメッシュが判らない。デンマークによるドリップコーヒーに求める味を図りかねた。あとで考えてみると、今年から始まったブリュワーズ選手権(※1)向けの味であるのは明白であった。(※1 ハンドドリップ・エアロプレス・サイフォンなどの抽出技術を競う競技会。日本でもハンドドリップ競技会が来年から行われる予定。先日のscaj2011でもエキシビジョンを行ったのであるが・・・)。

クラウスさんは、コットンパワーフィルターに大変な興味を示した。味作りでまた世界を狙っているのは確か。日本から競技会向けにコットンパワーフィルターが輸出されるのもそう遠くないと思う。日本も負けてはいられない。商品開発で少しだけ手伝いをさせていただいたコットンパワーフィルターの世界デビューも近しと言ったところ。カフェグッズさんにはぜひ頑張ってほしい。素直に嬉しい。

ひと仕事を終え、肩の力を抜いて風景を眺めながら、ショピングモールのコレクティブの新店へ向かう。ここにもハンドドリップがある。モール自体がオシャレ。何気ない建物も、である。・・・文化の違いか。

『Kent Kaffe Laboratorium』。ここも色々な抽出器具でコーヒーを楽しめる。コペンハーゲンでは半地下の構造建築が多い。

コペンハーゲンのもう一つの目玉、『KONTRA COFFEE』へ向かう。2005年のバリスタ世界チャンピオンのトルロス ポールセンの店である。ロゴもシンプルであるが、洗練されていてとてもいい。エスプレッソ器具と焙煎室、豆販売がメインの店舗。隣接するカフェで『KONTRA COFFEE』のコーヒーを味わえる。

あいにく、来店のタイミングで逢うことができなかったが、卸先でもあるカフェヨーロッパ、食器のロイヤルコペンハーゲンが経営するロイヤルカフェと続く一画を散策中、逢いに来ていただいていると言う連絡が入り、寒い雨とみぞれの降る中逢うことができた。以前見かけたときからすると、若干大きくなっているのに驚く。充実ぶりが伺える。デンマークはとてもフレンドリーで気さく、やはり皆が憧れる国であることを実感する。街並みの照明も日本と違い、優しい白熱球の色合い。ホッとする。昔ながらのレンガ造りも素晴らしくいい。エスプレッソは「今」を感じる「華やかな酸味」の浅煎りコーヒーがほとんどである。勿論、スペシャルティーコーヒー、アラビカ種だけのコーヒーである。コーヒーは淹れるバリスタによって味が全く違うのは、日本も同じだが、ただスッパイだけの浅煎りの味ではなく、酸味を包み込む甘みとボディーがあった。「さすが!」と唸るコーヒーとの出会いは度々あるが客観的に評価しながらとなるとそうそう無い。

観光地の帆船を見に行き、北欧を堪能。

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イギリス ロンドン [2011.10.19]

コペンハーゲンからイギリス ロンドンへ。今回の旅行では貴重な1日だけのロンドン。街並みのレンガ造りはイギリスも同じ。歴史を感じる。

『ランタナカフェ』、『モンマスカフェ』、『タベット&パクット』、『フラットホワイト』など満喫、大英博物館もついでに拝観。歴史、人間の非情を感じてしまったコレクション。少し落ち込む。夕方からセントアリへ向かう。

イギリスの夕方からはパブ一色である。カフェは7時で店じまいするところが多いのが残念。寒い夜空も何のその、屋外でビールを傾けているカップル・・・見ているだけで寒いのは・・・歳のせいか。いいのかなぁ、恋人は・・・どこでも。

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イタリア フィレンツェ [2011.10.20]

イタリア・フィレンツェへ。

ホテルから大聖堂まで4分。歴史があり格式のある建築物の数々は荘厳で「ここまで遣るか!」と感嘆。フィレンツェは群を抜いている。泊った『コロンバ ホテル』も400年と伺ったが、街並みすべてが中世の建築物なのである。

ホテル前にはシチリアジェラートで人気の『カペラ』がある。濃厚で口いっぱいに広がる香りと甘みが美味しい。フルーツだけで作るジェラートが人気らしいが、私はカカオ味をいただく。イタリアはカフェ以外にもSWEETSでも伝統の店が数多くある。

カフェ(エスプレッソシングル)が1ユーロ。カフェは街の至る所にあり、コーヒーと人との関わりは日本の比では無い。接客もさすがイタリア、笑顔とジョークは欠かさない。コーヒーの味は昔ながらの深煎りが多く、ロブスタ種も配合されている。自称「スペシャルティーコーヒー通」には、受け入れられないところだが、私は大好きである。それぞれの国・シーンで飲み続けられたコーヒーは、その風土・食文化と深く関わっている。Via Romaにある格式のある『GILLI(ジッリ)』は観光客にとても有名な店である。創業は1733年と言うから驚く。エスプレッソマシンができる前はターキッシュ・コーヒー(イブリックと言われる小さな片手鍋で作るコーヒー。コーヒー粉を直接鍋に入れ、砂糖、香辛料などを入れて沸騰しないようにゆっくりと過熱して作るコーヒー)であったと聞いた。店内カメラは禁止。最もだが・・・。

ほかにも『Giubbe Rosse(ジウベ・ロッセ)』創業1890年『Paszkowski(パスコウスキー)』1846年創業と、Barがイタリアの歴史を作ってきた社交の場であったことは明白である。またポンテベッキオの眺めは、格別であった。お城も贅を尽くした建物でありそのまま絵になる。

フィレンツェ フィレンツェ フィレンツェ フィレンツェ フィレンツェ
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イタリア トリノ [2011.10.21]

トリノへ。

フィレンツェ・サンタマリアノッヴェッラ駅からEuroStar(ユーロスター)に乗りトリノポルタノーヴァ駅に到着。イタリア建国の産声を上げた歴史的Bar(バール)がひしめく。『 プラッティー』、『トリノ』、『パラッティーディミラノ』、『ヴィチェリン』、『アブラーテ』など。小澤征爾さん、お気に入りのBarもあるらしい。コーヒー豆はラバッツァがほとんど。深煎りで濃厚なコーヒーである。

チョコレートの店の繁盛ぶりには驚いた。10坪ほどの店舗に30人ほどがチョコレートを飲んでいる。エスプレッソに濃厚なビターチョコとミルクフォームが入ったのをいただいた。甘みを抑えてあり、余韻を楽しむことができた。

ゆっくりと散策をしながらトリノポルタノーヴァ駅より、EuroStarでミラノ中央駅に向かう

トリノ トリノ トリノ トリノ トリノ
トリノ        

 

イタリア ミラノ [2011.10.22→23]

ミラノ。

大聖堂(DUOMO)まで25分程のところにホテルをとっているが、路面電車(TRAM)での移動は新鮮である。

日本にもある高級スパーPECK本店に入りジェラートとコーヒーを味わう。コーヒー豆専門店もあり、「コピ・ルアック」(インドネシア産、コーヒー農園でイタチ【ムサン】が食べたコーヒー豆を収集、精製、焙煎して飲むコーヒー。ジャコウの香りがする超プレミアムなコーヒー)を販売しているのには驚いた。200g日本円で60,000円もする。Barコーヒーはここでもラバッツァであった。惣菜、ハム、チーズ、野菜など、品ぞろえも豊富で品質も格別である。

カフェ『Cova(コーヴァ)』1817年創業の店。何年といってもここまでくるとピンとこないが、ナポレオン軍の兵士であった創業者といわれるとヘェ・・・言葉がでない。音楽家、芸術家、政治家などがオペラ公演の帰りなどに立ち寄り、芸術、劇、政治などが論じられた場であったと聞く。ミラノで一番上品なカフェの伝統を保っている。

『Zucca in Galleria(ズッカ)』は、ヴェルディ トスカニーニらが、スカラ座での公演のあとよく訪れたと言われている。イタリア国王ウンベルト1世もミラノで一番美味しいコーヒーが飲めると称えたらしい。ベル・エポック様式の優雅なサロンである。

今、ミラノで開催中の見本市にも出掛けた。会場は東京ビックサイトの10倍以上はあるだろう。コーヒーブースの規模も半端ではなく、本気を伺わせる。来年のバリスタチャンピオンシップのマシーンもシモネリに決まったようだ。昨年のチャンピオンに淹れていただいたエスプレッソは本当に旨かった。華やかな酸味の・・・。とうぶん続きそうだ・・・。

ミラノ ミラノ ミラノ ミラノ ミラノ
ミラノ ミラノ ミラノ    

旅を終えて

カフェ視察として、初めてのヨーロッパ。各国でエスプレッソ、カプチノ、マキアート、カフェラテ・・・など、数え切れないほど飲みましたが、それ以上に沢山の方と触れ合うことができた旅行でもありました。

デンマークではトップバリスタのフレンドリーで気さくな心に触れることができ、またイギリスでは若いバリスタの素晴らしい感性を覗き、イタリアでは格好よくプロフェショナルな接客を楽しみ、日本から参加した若いバリスタさんとの触れ合い、気心の知れている仲間との触れ合いと、自分を見つめ、これからに繋がる中身の濃い旅行になりました。

リストランテ、トラットリアでの食事も地元の素材を生かした素晴らしい味でした。

この旅を企画していただいた小林さん、運営していただいた伊原さんに心から感謝申し上げます。ありがとうございました。