コーヒー旅行記

ブラジル旅行記
2009年9月にブラジルを訪ねた際の写真をまとめました。
各写真をクリックすれば、大きな写真と解説が表示されます。

 

SANTO ANTONIO ESTATE COFFEE(=生産者団体名)

SAN COFFEE LTDA.(=サンコーヒー社、生産者団体所属の輸出業者名)

ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州サントアントニオドアンパロ
~サンパウロよりミナス州都ベロホリゾンテ方面、東北へ約500km人口2万人の町。 

【概説】

サントアントニオエステートコーヒー(=SAEC)は同地域の約20農園生産者共同体から構成され、同地区の品質安定さらには向上のため共同でその技術や情報を共有しブランド構築を行う。参加している農園の地域はサントアントニオドアンパロを中心に周辺のオリベイラ、カルモデマタそしてボンスセッソに及ぶ。生産量は平均10万袋。精選工場はサントアントニオにあり最終輸出玉まで仕上げる。顧客ニーズに合わせた品質管理そして輸出業務も一貫しており完全なトレーサビリティーが敷かれている。

同地域の特徴は(1)小高い丘陵地(2)豊かな土壌と水資源(3)農園および関係労働者の長い伝統(平均4代にも及ぶ農園経営者と従事労働者)による信頼構築(4)BSCA、GoodInsideなどへの積極参画(5)栽培品種の特徴を活かしたコーヒー生産とその商品構成。

一方味覚特徴としては、派手さはないがブラジルらしい甘みと柔らかさを安定的に表現できるカップに仕上がること。酸味は控えめでボディー感は豊か。チョコレートやカカオなどの風味表現が使われることが多い。ストレートはもちろん、ブラジルコーヒーの特徴を存分に活かしたブレンドを安定的に作成できるのが一番の利点。

●ボンジャルディン農園:Fazenda Bom Jardim

サントアントニオコーヒー生産者組合長ジョズエ氏経営農園。標高1050m、農園面積は200haでコーヒー作付面積は拡大中、現在26種類のコーヒー栽培品種が合計800,000本植えられている。
ジョズエ氏はIBC時代農業技術博士として任務を果たし特に品種改良において多大な功績を残した。その経験を活かし現在はコーヒー種子の販売店も経営。

 

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CARMOCOFFEES(=カルモコーヒー社)

ブラジル連邦共和国ミナスジェライス州カルモデミナス
~サンパウロより東へ約250km人口1万人の町。ホテルのある隣町は人口5万人で
世界的に有名な取水地であり、観光地である水の町サンロウレンソ。

カルモコーヒーズ社はカルモデミナスの伝統ある農園の第4代目となる二人のコーヒー生産者ジャッケス氏とルイス氏により設立された。きっかけは同地域のコーヒー生産者が国内の品評会において素晴らしい評価を受けていたことによる。その地域の誇りと伝統を以て生まれた。会社の目的は彼らの高い品質のコーヒーを世界に送り届けること。

カルモコーヒーズ社の成功は小さい生産者と消費者を結んだことにある。また優れた品質をもつ少量のコーヒーを市場に送り出したことである。こうして得た信頼と生産者の動機付けがブラジルのまた世界中の焙煎業者やコーヒーショップに最高品質のコーヒーを供給できる会社に育て上げた。

会社は地域の農協であるコカリベとパートナーを組みカルモデミナス周辺にある生産者と関係を密にしている。コカリベ農協の商業的な分野においてカルモコーヒーズ社はブラジル国内や世界のお客様との懸け橋的役割を担っている。すなわち生産者の代弁者となったり、輸出業務の仲介をしたり、農園の情報を提供したり、、、。

カルモコーヒーズ社にはコーヒーの芸術性を述べるカップテスターがおり、SCAAの認定審査員でもある。農園から輸出まで多義にわたるロットの品質を確認している。

カルモデミナスのスペシャルティーコーヒーは(マンティキエラ)山脈の麓で栽培され国内はともかく世界的に最高品質のコーヒーであることが知られている。それらはたくさんの品評会で入賞している。ナチュラルはもちろんパルプドナチュラルおよび水洗式のコーヒーがあり、世界各国色々なお客様のニーズにこたえられる特徴的かつ特有の風味をもったコーヒーに仕上げられ、さまざまなビジネスシーンに対し適合するスペシャルティーコーヒーを提供する。

カルモコーヒーズ社ではお客様のブレンド、独占権のある単一農園物やトレースの利く商品なども創ることができます。

【カルモコーヒーズ社扱い地域情報】

・ 構成地域:22町
・コーヒー生産者数:4500名
・コーヒー樹数:1億本
・年間平均生産量:50万袋
・コーヒー生産従事者数:10万人(以上「carmocoffees」パンフレット訳)

【視察農園】

●セルトン農園:Fazenda Sertao

セルトン農園はセルトングループの名の由来となった最初の農園。1891年より100年以上の歴史を持ち、カルモデミナスにおけるコーヒー栽培の先駆け的存在。標高が高く降雨量も多い。一方優れた牛のブリーダーでもあり「セルトンのジロランド」として有名で国内品評会では過去に8度も優勝をしている。標高は1200m、農園面積は105haある。

栽培品種はアマレロブルボンのほかムンドノーボ、アカイア、カツアイなど。30年以上の樹齢をもつものもあり今では農園の約20%にあたる数量を毎年カットバックして収量維持をしている。乾燥行程にも品質維持のため最善の注意を払う。収穫後天日乾燥し機械乾燥(水分値60%→20%)、トゥーリャで休息させ(同20%→15%)再度機械乾燥させ(同15%→12%)最終的にトゥーリャで保管(12%以下)する。これは乾燥によるコーヒー豆へのストレスを最小限に抑えるためである。

●サンタイネス農園:Fazenda Santa Ines

1979年にセルトングループにより新しく加わった農園。今ではカップオブエクセレンスやイリー品評会、そしてBSCA品評会など数多くの場面で高い評価を受ける。栽培品種はアマレロブルボンのほかカツアイやアカイアなど。標高1200m、農園面積は105ha。環境にも配慮し水洗処理後の水を浄化後牧畜に再利用したり、脱果肉後の果肉を肥料として再利用したりと環境にも優しい農園運営をしている。

●ティジュコプレト農園:Fazenda Tijuco Preto

肥沃な黒い泥土だったことからこの名がついた。農園主の「ブルボン好き」が起因し栽培されている約90%(180ha)がアマレロブルボンである。特に黄色いブルボンを味覚においても好んでいる。それの年間平均収量は1350袋。地理的に特に美味しいアマレロブルボンが栽培される地域は標高が1250mありCascalho(カスカーリョ:石の一種)と呼ばれ特別扱いされる。ILLYやBSCAまたフランスにおける品評会などで数多くの入賞を果たす。カップテスターのマルシア女史はこのアマレロブルボンを「上品で繊細、甘みがあり中程の酸味に加えレモンのような柑橘系の香りがある」と評する。カルモコーヒー社のジャッケス氏は同農園を栽培に対する意欲と技術や姿勢は域内一番と称賛する。

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QualicafeX(=クオリカフェックス社)

ブラジル連邦共和国サンパウロ州エスピリットサントデピニャル
~サンパウロより北へ約250km人口4.5万人の町。
コーヒー精選機械メーカーピニャレンセの本社、工場があり住民の多数が従事している。

現在ではコーヒー選別機械の世界シェア約40%を誇る1950年設立されたピニャレンセ社の関連会社。モジアナ地区を中心とした提携農園の技術指導・品質管理・輸出・国際営業などを行なう。規模は中小でありながら高品質なコーヒーを生産する農園とパートナー契約を結びその価値を正確に反映させた透明性のある価格で世界各国のプレミアムコーヒーの輸入商社に輸出販売代行を行っている。もちろん関連会社の企業性を最大限に利用し品質向上に向けた技術的な指導も積極的に行っている。
また別の関連会社でP&A Marketingがある。これは生産国におけるコーヒー販促のためのコンサルティング業務を行う他、商品のパッケージデザインや広告業などを営む。ブラジル政府からも信用厚く、同国のコーヒーに関する販促資料なども数多く手がける。

【視察農園】

●サンタアリーナ農園:Fazenda Santa Alina

農園主は4代目にあたるジョアキンベルナルデス。温泉が湧く町ポソスエカルダスにある。産地はカルデラの淵にあたる山岳地帯にあり標高は1100~1200m、保水性に優れた肥沃な火山性土壌。同山麓にはヘクレイオ農園もある。

約360haのコーヒー農園には70世帯の永年労働者が住居を構え一社会自治体が存在する。

歴史は古く107年前にさかのぼる。今も当時に植えられたブルボン(赤)がたくましく実をはぐくんでいる。一方新しい技術もいち早く取り入れ、1991年に他に先駆けてパルプドナチュラルを導入した。年間平均5000袋生産。乾燥は天日→機械→寝かせ保管で、特に機械乾燥においては温度設定を高くとも40度以下におさえ(品温)またその熱源も香りを損なわないよう温水を利用した機械を用いている。主要栽培品種はムンドノーボ(50%)の他、アマレロブルボン(40%)、アカイア、カツカイ、レッドブルボンなど。

●ハベーリョ農園:Sitio Ravelho

エスピリットサントデピニャル近くの山岳地帯に広がる。バージェングランデ農園と並ぶ非常に整備された農園はコンチニ一家によって運営される。標高は1100~1200mで平均3000~4000袋の生産量。栽培品種はムンドノーボとカツアイが主。特にピニャレンセの比重水選別機を利用し大粒の過完熟チェリーのみを乾燥処理した「スーパーボイア」と呼ばれる味覚品質は他に類を見ない風味を有し昨年サンパウロナチュラルコーヒー品評会で優勝した実績を持つ。全生産量の30%ほどしか生産できない。乾燥は天日→機械→寝かせ保管で特に機械乾燥では熱源にガスを用い微妙な温度調整を可能にし、また煙臭のコンタミを防いでいる。

【補足説明】

◎ブラジル生産量に占めるパルプドナチュラルの割合は10%程度。ブラジルコーヒーの味覚特徴についてナチュラルはボディ強く酸味が弱い、ウォッシュドはボディー弱く酸味が強い、パルプドナチュラルはその中程度でバランスが良いとの弁。

◎南ミナスは伝統的な農園が多く、地形も味覚も様々である。

◎セラードは機械化され灌漑設備をもった大農園が広がる。一応に太陽の光を浴びるためその味覚も安定的である。味覚特徴としては酸味が中程度ありボディー感がある。

◎パラナはかつて4000万袋を生産したこともあったが霜害により壊滅被害を受け現在は小農家による栽培が残る程度。味覚はばらつきがおおくなる傾向。

◎バイアは機械化され灌漑設備をもった近代的な大農園が広がる。100haの円形農園がいくつも並ぶところもある。特にCerrado de Minasは大きな生産地域になりつつある。一方太平洋側産地のChapada de Minasでは湿度が高くリオ臭のあるコーヒーが生産され特にエジプトやシリア、サウジアラビアなど中近東のニーズがある。

◎サンパウロは俗にモジアナ地区とよばれる南北に広がる地域が有名で特徴的な酸味と甘みを有する。南ミナスから連なるマンティキエラ山脈山麓に広がる地域では標高もあり良質のアラビカコーヒーが栽培されている。

◎エスピリットサントはカネフォラ種コニロンの大生産地。ブラジルはアラビカはもちろんだがカネフォラでもベトナムについで2番目1450万袋の生産を誇る。

◎今年は4000万袋、来年は5000万袋の生産予想。今年については収穫時期の長雨と高い湿度のため収穫が遅れ品質に影響が出ている。また一部ではすでに開花した場所もあり来年の収穫量は当初予定よりも大幅に減りそう。

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